研究 · プロトタイプ / 2023

機能を生かすアップサイクル

研究・プロトタイプ

使われなくなった電子機器に、もう一度役割を。

廃棄された電子機器の機能を生かすアップサイクルをテーマに、機器を分解し、内部のモジュールを捉え直しました。バックライト、キーのスイッチ、光学センサーを、新しい日常の道具の出発点としています。

機能を生かすアップサイクル — デザイン画像1
機能を生かすアップサイクル — デザイン画像2
機能を生かすアップサイクル — デザイン画像3
機能を生かすアップサイクル — デザイン画像4
機能を生かすアップサイクル — デザイン画像5
機能を生かすアップサイクル — デザイン画像6
機能を生かすアップサイクル — デザイン画像7
プロジェクトノート
修士論文・制作
電子機器の廃棄問題と、新しい価値を生み出す可能性に関する研究。

研究の背景
原資料では、電子産業の市場拡大とともに廃棄される機器も増えていることに着目しています。背景資料に記載された市場規模は2017年に6,538億米ドル、2030年の予測は1兆米ドル。電子廃棄物は2019年に5,360万トン、1人当たり年間7.3kgとされ、毎年約200万トン増え、2030年に7,470万トン、2050年に1億1,000万トンに達するという予測が紹介されています。これらは研究当時の背景資料であり、この作品の実測値ではありません。

同資料では、2019年に回収された有価原材料を94億米ドル相当、行方が記録されていない電子廃棄物を83%としています。不適切な投棄、焼却、処理により、570億米ドル相当の価値が失われる可能性も取り上げています。こうした課題から、素材の回収だけでなく、機器が持っていた機能を生かす方法を探りました。

アップサイクルという視点
不要になったものを再設計し、より高い使用価値を与えるアップサイクルを手がかりにしています。Michael BraungartとWilliam McDonoughの「Cradle to Cradle」の考え方や、「Design Transfigured/Waste Reimagined」展から着想を得ました。一方で、電子廃棄物の事例は少なく、見た目だけを生かすのではなく、回路や機構という電子機器固有の特徴を継承する方向を検討しました。

バックライトから照明へ
廃棄量の多いスマートフォンの液晶パネルに使われるバックライトを活用。複数の種類で通電実験を行い、発熱、明るさ、消費電力を観察しました。電源を接続すると点灯する簡単な構成とし、パネルを軸でつなぐことで、必要に合わせて形や枚数を組み替えられるモジュール型照明を試作しました。

キーボードから音の道具へ
基板が故障しても、キーの機械式スイッチを再利用できないかを検討。手の動きに合わせてキーキャップの形と間隔を再構成し、スマートフォンやパソコンのソフトウェアと接続して、押す動作を音に変える試作を行いました。複数のユニットを組み合わせ、自分に合った配置で音楽制作に触れる使い方を提案しています。

マウスのセンサーから描画・計測の道具へ
光学式マウスのセンサーを、二次元の微小な変位を検出する部品として捉え直しました。参考研究で示された低コスト、低消費電力、測定精度や表面への対応性を手がかりに、細かな操作に向いたペン型の握り方で、描画や計測に使う道具を検討しました。

これらは研究と試作による提案です。製品としての安全性、耐久性、性能や環境負荷の削減効果を保証するものではありません。